びしょびしょになった背広姿の男たちは思い思いの感慨に耽りながら集合場所に戻ってきました。
夢にまで見た重賞口取り…。
噛みしめるように僅かな時間を振り返ります。
メビウスのゼッケンを持ったシルクの社員さんが、しばらく待っていてもらえれば田中博康騎手のサインをもらってくると告げて再び関係者のエリアへ消えました。
私は荷物を取りに指定席に戻り、傘を持っているのにずぶ濡れの背広を着たおかしな奴とチラチラ見られながら再びのインフォメーションセンターに向かいます。
しばらくして会員の方と会話する機会を頂きました。
皆さん穏やかな方で私は心地良かったです。
中でも印象的だったのは「ユニコーンSを勝ったあとはボーナスステージのようなもの」というある方の一言でした。
重賞を勝つ事がどれだけ難しく、またこんなに強い馬を持つ幸せと怖さを知っている言葉。
別に勝たなくてもいい、とにかく無事に長く走って欲しいという心からの叫び、夢のような舞台に連れて行ってくれるシルクメビウスを長く見ていたいという純粋な思いからきた言葉がとても嬉しくなりました。
こうして重賞で本命視される馬を持つ脇目もふらずにメビウスを応援する真っ直ぐな気持ちを皆さんとの会話の中から感じました。
私はとても心強く思いました。
お会いした会員さんたちはみんな共通の思いを持っている同士でした。
この時間がどれだけ私の砕けたシルク魂を繋ぎとめたかしれません。
私は依然として降り続く雨の中、晴れ晴れとした笑顔で埼玉に戻ったのでした。